生理の数日〜2週間前から始まるイライラ、気分の落ち込み、体のだるさ、頭痛、むくみ……。これらの不調はPMS(月経前症候群)と呼ばれ、妊娠可能年齢の女性の約20〜50%が経験しているとされています(日本産科婦人科学会)。
PMSの症状は個人差が大きく、軽い方もいれば日常生活に支障をきたすほど重い方もいます。薬や漢方による対処もありますが、ヨガで自律神経を整え、血行を促進することでセルフケアができます。
この記事では、PMSの不調を和らげるのに効果が期待できるヨガポーズと実践法を紹介します。

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PMS(月経前症候群)とは
PMSは、月経(生理)の3〜10日ほど前から始まる身体的・精神的な不調の総称です。生理が始まると症状が軽くなる、もしくは消えるのが特徴です。
主な症状は以下のとおりです。
- 身体的な症状:お腹の張り、頭痛、腰痛、むくみ、乳房の張り、便秘、肌荒れ、疲労感
- 精神的な症状:イライラ、気分の落ち込み、不安感、集中力の低下、過食、涙もろくなる
PMSの原因はまだ完全には解明されていませんが、排卵後の女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の急激な変動が関わっていると考えられています。自律神経やセロトニン(幸せホルモン)の分泌にも影響を及ぼすため、心身にさまざまな不調が現れるのです。
ヨガがPMS緩和に効果的な理由
ヨガが持つ穏やかな動き・呼吸法・瞑想の要素が、PMSの症状緩和にはたらくとされています。
自律神経の調整:ヨガの深い呼吸は副交感神経を活性化させ、交感神経とのバランスを整えてくれます。ホルモンバランスの乱れで崩れやすい自律神経を穏やかな状態に戻すサポートになります。
ストレスの軽減:ヨガの実践によってコルチゾール(ストレスホルモン)の分泌が抑えられるという報告もあります。ストレスはPMSを悪化させる要因のため、ストレスコントロールがPMS対策のカギになります。
血行促進とむくみ改善:骨盤周辺の血行を良くすることで、お腹の張りやむくみの軽減が期待できます。
セロトニンの分泌促進:リズミカルな呼吸や穏やかな動きでセロトニンの分泌が促されると、気分の落ち込みやイライラの緩和につながります。
PMS緩和におすすめのヨガポーズ8選
1. チャイルドポーズ(バーラーサナ)
額を床につけてお辞儀をするようなリラックスポーズです。副交感神経を活性化させ、心を落ち着かせる効果があります。PMS特有のイライラや不安感があるときにおすすめです。
正座から上体を前に倒し、額を床につけます。両膝は腰幅に開き、両腕は前に伸ばすか体の横に置きます。3〜5分ゆっくり呼吸します。
これから紹介するポーズは、床に座ったり寝転がったりして数分キープするものが多いです。硬い床の上だと膝や背中が痛くなって集中できないので、クッション性のあるマットを敷いてから始めましょう。
2. 猫と牛のポーズ(キャットカウ)
呼吸と動きを連動させて背骨をしなやかに動かすポーズです。自律神経のバランスを整え、腰痛やお腹の張りの緩和にも効果的です。朝起きてすぐに行うのがおすすめです。
四つん這いになり、吸う息で背中を反らせ、吐く息で背中を丸めます。ゆっくり5〜10回繰り返します。
3. ワニのポーズ(ジャタラパリヴァルタナーサナ)
仰向けで膝を左右に倒すねじりのポーズです。お腹の張り解消に効果があるとされ、自律神経を整える作用も期待できます。腰回りが心地よく伸びるので、寝る前にベッドの上で行うのもおすすめです。
仰向けに寝て、両膝を立てます。両手を左右に広げ、息を吐きながら両膝をゆっくり右側に倒します。顔は左を向いて5呼吸キープします。反対側も行います。


4. 片脚開脚の肩入れポーズ
股関節周りの柔軟性を高め、下半身の血流を改善するポーズです。肩周りも同時にほぐれるので、気分の落ち込みや体の重だるさを感じるときに取り入れると、呼吸が深まりスッキリします。
座って右脚を横に伸ばし、左脚は膝を曲げて内側に置きます。上体を右脚の方にねじりながら右肩を右膝の内側に入れていきます。5呼吸キープし、反対側も行います。
5. 合蹠のポーズ(バッダコナーサナ)
足裏を合わせて座り、膝を左右に開くポーズです。鼠径部のリンパを刺激し、骨盤周辺の血行を促進します。むくみやお腹の張りが気になるPMS期間に取り入れたいポーズです。
背筋を伸ばして座り、足裏を合わせてかかとを体に引き寄せます。膝が床につかなくても問題ありません。前屈を加えるとさらに効果が深まります。5〜8呼吸キープします。
6. 壁に脚を上げるポーズ(ヴィパリタカラニ)
壁に脚を立てかけるだけの超リラックスポーズです。脚のむくみ解消と骨盤への血液還流促進に効果が期待できます。PMSで疲労感がひどいときに最適です。
壁にお尻を寄せて仰向けに寝て、両脚をまっすぐ壁に沿って上げます。3〜5分キープします。
7. 仰向け合蹠のポーズ(スプタバッダコナーサナ)
仰向けで足裏を合わせ、膝を開くリストラティブポーズです。深いリラックスが得られ、PMS期の不安感やイライラを鎮める効果が期待できます。
仰向けに寝て足裏を合わせ、膝を自然に開きます。膝の下にクッションを入れると楽にキープできます。両手はお腹の上に置いて呼吸を感じましょう。5分ほどキープします。
膝の下に入れる支えは、クッションでも代用できますが、専用のヨガボルスターだと高さと硬さが安定します。リストラティブ系のポーズを自宅で長めにキープしたい方に選ばれています。
8. 前屈のポーズ(パスチモッターナーサナ)
座った姿勢で前屈するポーズです。背面全体が伸び、神経系が落ち着きます。頭が心臓より低い位置に来ることで、脳への血流が増え、気分の安定にもつながります。
長座で座り、息を吸って背筋を伸ばしたら、吐きながら前屈します。手は足先、すね、どこでも届くところで構いません。5〜8呼吸キープします。


PMSの症状別おすすめポーズ
PMSの症状は人それぞれです。自分が特に悩んでいる症状に合わせてポーズを選びましょう。
イライラ・気分の落ち込み:チャイルドポーズと前屈のポーズがおすすめです。頭を下にすることで神経系が落ち着き、感情の波が穏やかになりやすいです。呼吸法も合わせて行うとさらに効果的です。
お腹の張り・便秘:ワニのポーズと猫牛ポーズで内臓を刺激しましょう。ねじりのポーズは腸の蠕動運動を促す作用があるとされ、お腹のスッキリ感が得られやすいです。
むくみ・体のだるさ:壁に脚を上げるポーズと合蹠のポーズが効果的です。特に脚のむくみがひどいときは、壁に脚を上げて5分以上キープすると、脚が軽くなるのを感じやすいです。
日中の立ち仕事やデスクワークで脚まわりが気になる方には、就寝時に履くタイプの着圧ソックスも選ばれています。締め付けが強すぎるものは眠りを妨げるので、就寝用と書かれた着圧値の弱めのものを選びましょう。
頭痛:うさぎのポーズで百会のツボを刺激するか、仰向け合蹠のポーズで全身をリラックスさせましょう。締め付けのない服装で、暗めの静かな環境で行うとなおよいでしょう。
PMS期間のヨガ実践のコツ
頑張りすぎない:PMSの時期は体も心もデリケートです。「今日は調子がいい」と感じた日は積極的に動いてもよいですが、だるいときはリラックス系のポーズだけに絞りましょう。
呼吸法を取り入れる:ポーズをとらなくても、腹式呼吸を3〜5分行うだけでも自律神経が整い、イライラや不安が軽くなることがあります。4秒吸って、8秒で吐く呼吸を試してみてください。
温かい環境で行う:冷えはPMSを悪化させます。暖かい部屋で行い、終わった後は温かい飲み物を飲むなどして体を冷やさないようにしましょう。
カフェインを控えめに:カフェインは自律神経を興奮させる作用があるため、PMS期間中はハーブティーや白湯などに切り替えるのがおすすめです。
カモミールやルイボスなど、ノンカフェインのハーブティーは種類が豊富です。ティーバッグのアソートを一箱置いておくと、その日の気分で選べます。
よくある質問(Q&A)
Q. ヨガでPMSが完全になくなる?
A. ヨガだけでPMSを完全になくすことは難しいです。しかし、継続的にヨガを行うことで、自律神経の安定やストレスの軽減を通じて症状が和らぐ可能性があります。ヨガはあくまでセルフケアの一つとして取り入れましょう。
Q. PMSがひどすぎるときはどうすればいい?
A. 日常生活に支障をきたすほどPMSがひどい場合は、PMDD(月経前不快気分障害)の可能性もあります。婦人科で相談すると、低用量ピルや漢方薬などの選択肢を提案してもらえることがあります。
PMSの症状が重い場合、うつ病や甲状腺機能の異常など他の疾患が原因の場合もあります。セルフケアで改善しない場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。
Q. 排卵日から生理までずっと不調なのですが、ヨガで対処できる?
A. 排卵日から生理開始まで約2週間不調が続くケースは珍しくありません。ヨガは毎日少しずつ行うことで自律神経が安定しやすくなるため、不調期間を通じて継続的にケアするのがおすすめです。ただし、日常生活に支障をきたすレベルなら、PMDDの可能性もあるので婦人科に相談してください。
Q. PMSの時期に激しいヨガはしないほうがいい?
A. PMS期間中はホルモンの影響で体力が落ちていることが多いです。パワーヨガやアシュタンガヨガなど運動量の多いスタイルは避け、リストラティブヨガやハタヨガなど穏やかなスタイルを選ぶのがおすすめです。
Q. PMS対策に漢方とヨガを併用してもいい?
A. 問題ありません。漢方は体の内側からホルモンバランスを整えるアプローチ、ヨガは自律神経を整えて血行を促進するアプローチであり、それぞれ異なる角度からPMSにはたらきかけます。漢方を処方してもらう場合は、ヨガを行っていることも医師に伝えるとよいでしょう。
まとめ
PMSのつらい症状は、ヨガの穏やかなポーズと深い呼吸で自律神経を整え、血行を促進することで和らげる効果が期待できます。ワニのポーズや仰向け合蹠のポーズなど、横になったまま行えるポーズも多いので、だるいときでも取り組みやすいです。
生理前のつらい時期を少しでも快適に過ごすために、ヨガをセルフケアの選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。
PMSの症状は毎月同じとは限りません。先月はイライラが中心だったのに、今月はむくみがひどいということもあるでしょう。だからこそ、いくつかのポーズを覚えておいて、その日の症状に合わせて使い分けるのが賢いやり方です。ヨガはPMSと上手に付き合うための心強い味方になってくれるはずです。
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参考:ヨガジャーナルオンライン – PMSに効くヨガポーズ / リンネル – PMSによる気分の落ち込みとヨガ / Canvas – PMSの改善方法
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